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ヤング・ブリティッシュ・アーティスト...

ジョニー・シャンド・キッド

ジョニー・シャンド・キッドの作品「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト...」は、「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」展において、1990年代の英国アートシーンの核心を捉える貴重な記録として紹介されています。

作品の背景、経緯、意図

ジョニー・シャンド・キッドは、1995年頃にボンドストリートのアートディーラーとしてのキャリアを辞め、初めてポイント・アンド・シュートカメラを手にしました。当時のロンドンのアートシーン、特にヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)の台頭には「計り知れないほどのエネルギー」があると認識し、これを記録する者がいないと感じたシャンド・キッドは、自らその記録者となることを決意しました。彼は、当時のアーティストたちが大衆文化、個人的な物語、社会構造の変化などをテーマに、絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションなど多様な手法で独創的な作品を発表していた状況を、親しい友人や同業者を被写体とすることで写真に収めていきました。彼の撮影は、ダミアン・ハーストやトレイシー・エミン、サム・テイラー=ジョンソンといったYBAの中心人物たちの、気取らないありのままの瞬間を捉えることに焦点を当てました。ソーシャルメディアが存在しなかった時代において、彼はしばしば「カメラを持った唯一の人物」として、パーティーでの喧騒からアーティストのスタジオでの静かなポートレートまで、彼らの日常と創造的な交流を写し出しました。この長期にわたる撮影は、1960年代の英国アートを記録したロード・スノードンの「プライベート・ビュー」という写真集に触発されたものとされています。

技法と素材

この作品は1995年から2013年までの長期間にわたって撮影された69点の写真で構成されるスライドショーであり、約6分54秒で展開されます。シャンド・キッドは「ポイント・アンド・シュートカメラ」を使用し、スライドショーという形式で一連の画像を連続的に表示することで、時間の経過とアーティストたちの変化、そして当時の活気あるアートシーンの雰囲気全体を表現しています。

作品の意味

シャンド・キッドの「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト...」は、現代英国アートを変革した世代の率直で親密な記録として重要な意味を持ちます。この作品は、YBAがその後のアートシーンに与えた影響を考察する上で不可欠な視覚的資料を提供します。写真一枚一枚が、アーティストたちの創造的なエネルギー、彼らの関係性、そして作品が生まれる過程を垣間見せるものです。ソーシャルメディア以前の時代における、アーティストたちの飾らない姿や、夜の集まりがスタジオの延長として機能していたという証言は、単なる記録を超えて、当時の英国文化全体を映し出す鏡となっています。

評価と影響

ジョニー・シャンド・キッドの写真は、YBAの台頭を捉えた「驚くべき旅」として評価されています。彼の作品は、YBAの活動を記録した貴重な資料として、彼らの名を世界に知らしめた「Sensation」展でも紹介されました。YBAは、1988年の「フリーズ」展を皮切りに、既存の美術の枠組みを問い、英国の美術市場を活性化させ、ターナー賞を独占するなど、その後のアートシーンに多大な影響を与えました。シャンド・キッドの作品は、この革新的なムーブメントの時代精神を捉え、その歴史的意義を後世に伝える上で重要な役割を担っています。