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ゴースウー小岩島

カール・ヴィルヘルムソン

東京都美術館開館100周年記念「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展にて、カール・ヴィルヘルムソンによる油彩作品《ゴースウー小岩島》が展示されます。

カール・ヴィルヘルムソンについて

カール・ヴィルヘルムソン(Carl Wilhelmson, 1866-1928)は、スウェーデンを代表する画家、グラフィックアーティスト、アマチュア写真家、美術教師です。彼は1866年にスウェーデンのフィスケベックシルに生まれ、1928年にイェーテボリで亡くなりました。ヴィルヘルムソンの父は彼が幼い頃に難破事故で他界し、母は家族を支えるために小さな店を開きました。

彼の芸術教育は1881年、イェーテボリのリソグラファーMeyer & Kösterでの徒弟奉公から始まりました。その後、彼は工芸学校の夜間クラスに通い、ヴァーランド・アカデミーでカール・ラーソンのもとで学びました。1888年には奨学金を得てライプツィヒに渡り、複数のリソグラフィー会社で働きながらも、芸術家としての道を模索しました。1890年にはパリに移り、広告アーティストとして活動しつつ、アカデミー・ジュリアンでポール・セリュジエやモーリス・ドニに師事しました。1896年にスウェーデンへ帰国後、ヴァーランド・アカデミーのディレクターを1910年まで務めました。1925年にはスウェーデン王立美術院の教授に任命され、翌年には会員となりました。

ヴィルヘルムソンは、スウェーデンのボーヒュースレーン地方の沿岸生活やそこに暮らす人々を描いた作品で知られています。彼の作品は、漁師や女性たちの日常の静かな尊厳を捉えることが多く、レアリスムと象徴主義の要素を組み合わせた独自のスタイルを持ち、色彩と構図に強い感覚が見られます。 彼の作品は20世紀初頭のスウェーデン美術の形成に重要な役割を果たしました。

作品《ゴースウー小岩島》について

作品名:《ゴースウー小岩島》(原題:I Gåsöskären、英語名:The Gåsö Skerries)は、カール・ヴィルヘルムソンが油彩で描いたキャンバス作品です。作品の寸法は縦49.5cm、横76.5cmです。 この作品はスウェーデン国立美術館に所蔵されており、1949年に銀行員カール・ジョンソンの遺贈により国立美術館が取得しました。

ゴースウー(Gåsö)はスウェーデン、ボーヒュースレーン地方にある島であり、この作品はヴィルヘルムソンが好んで描いた沿岸風景というテーマに合致しています。水平に広がる構図は、彼が捉えようとした北欧の自然、特に海と島々の情景を表現する上で選ばれたものです。

展覧会における意義

本作品は、東京都美術館開館100周年記念「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展の一環として展示されます。本展は、スウェーデン国立美術館の全面協力のもと、19世紀末から20世紀初頭にかけてのスウェーデン美術の黄金期(1880年代から1915年頃)に制作された魅力的な絵画を紹介するものです。

この展覧会は、1880年頃からフランスでレアリスムを学んだスウェーデンの若い芸術家たちが、帰国後に自国のアイデンティティを示すべく、自然や身近な人々、そして日常の中に潜む輝きを親密で情緒豊かな表現で描き出した経緯に焦点を当てています。 《ゴースウー小岩島》は、まさにスウェーデン特有の厳しくも豊かな自然と、その中に見出す日常の輝きを表現した作品として、本展覧会のテーマである「自然」「光」「日常のかがやき」を象徴する一点と言えます。 ヴィルヘルムソンの作品を通して、鑑賞者は自然と共に豊かに生きる北欧ならではの感性に触れることができるでしょう。