グスタヴ・アンカルクローナ
東京都美術館開館100周年記念「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展にて展示されているグスタヴ・アンカルクローナの油彩画《太古の時代》は、1897年に制作されました。スウェーデン国立美術館が所蔵しています。
この作品は、スウェーデンの画家グスタヴ・アンカルクローナ(1869-1933)の初期の重要な時期に描かれました。アンカルクローナはスウェーデンの農村生活、特にダーラナ地方の風景や馬、季節の情景を写実的に描いたことで知られています。彼はドイツで美術を学び、1895年にスウェーデンに戻った後、1896年から1901年までストックホルムにスタジオを構え、肖像画を専門としました。その一方で、彼は急速に失われつつあった農村文化にも関心を抱き、文化財の保護活動にも尽力しました。ダーラナ地方の伝統的な農家を保護し、テーレベリのホーレンの敷地を民俗博物館に改築するなど、美術と伝統文化の保存を両立させた生涯を送りました。
《太古の時代》は、夜明け前の静寂の中を進むヴァイキング船を描いたと解釈されています。これは、北欧の歴史や伝説、神話といったテーマに連なる作品であり、スウェーデン絵画の象徴主義的な側面を示唆しています。アンカルクローナの作品は、自然主義的な細部と雰囲気のある効果を重視し、しばしば厳しい冬の美しさや牧歌的な情景を捉えています。本作品においても、暗い感触が少なく、澄んだ色彩が広がっているのが特徴です。
この作品は、油彩で描かれており、アンカルクローナが用いた写実的な技法と、光や大気の表現へのこだわりがうかがえます。具体的な評価としては、「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展の音声ガイドにて「スロールッキング」という鑑賞方法が推奨されており、鑑賞者が作品とじっくり向き合う機会が提供されています。これは、鑑賞者が作品から「何が見えるか」「どんな音が聞こえるか」といった問いを通じて、作品世界に深く没入することを促すものです。この作品は、スウェーデン絵画における独自のアイデンティティを探求する文脈の中で、歴史や神話への眼差しを代表する一点として位置づけられています。