ブリューノ・リリエフォッシュ
東京都美術館開館100周年記念「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展にて展示された、ブリューノ・リリエフォッシュの作品「そり遊び」についてご紹介します。
ブリューノ・リリエフォッシュ(1860-1939)は、スウェーデンを代表する国民的画家であり、特に動物画の分野で高く評価されています。彼は、自然の中で生きる動物たちの姿を臨場感豊かに描き出すことで知られています。また、パリ郊外のグレー=シュル=ロワンで世界の画家たちと交流し、日本美術からも影響を受けたとされています。
リリエフォッシュの作品「そり遊び」は1882年に制作されました。この作品は、彼の主要な主題である野生動物の描写とは異なり、北欧の日常風景、特に子どもたちの遊びの情景に焦点を当てています。この作品の制作意図は、冬の寒さの中にも見出される、子どもたちの純粋な喜びと生命力、そして北欧の豊かな自然の中での生活の輝きを捉えることにあったと考えられます。
「そり遊び」は油彩で描かれており、キャンバスが用いられています。この作品では、多くの画家がそうであったように、油彩・カンヴァスという一般的な画材が用いられています。画面上では、地面や子どもたちがまず黒っぽい色で塗られ、その上に別の色が重ねられていることがうかがえます。この技法は、雪景色における光と影、あるいは冬の厚い衣服をまとった子どもたちの存在感を表現するために用いられた可能性があります。
この作品は、多数の子どもたちがそりで遊ぶ様子を描いています。子どもたちの顔は詳細に描かれていないため、個々の表情を読み取ることはできません。しかし、彼らの身体の動きやポーズからは、遊びに熱中し、心から楽しんでいる様子が生き生きと伝わってきます。この描写は、特定の個人の感情ではなく、普遍的な子どもの遊びの楽しさ、そして冬の屋外活動がもたらす活気と喜びを象徴しています。それは、北欧の厳しい自然環境の中でも育まれる、日常のささやかな幸福と輝きを示唆していると言えるでしょう。
ブリューノ・リリエフォッシュは、その生涯を通じてスウェーデン国民に愛された画家であり、「そり遊び」のような作品は、彼の多様な表現の一面を示しています。動物画家としての彼の名声は揺るぎないものですが、このような子どもたちの情景を描いた作品もまた、彼の観察眼と生命への温かい眼差しを物語っています。
「そり遊び」は、今回「東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展で展示されることで、スウェーデン美術が持つ「北欧の光、日常のかがやき」というテーマを具現化する一例として紹介されています。この展覧会は、19世紀末から20世紀初頭にかけてのスウェーデン絵画が、印象派よりもバルビゾン派に影響を受け、母国の自然や日常の風景に美を見出したという特徴を提示しており、リリエフォッシュの作品もその流れの中で評価されています。この作品は、観る者に北欧の冬の情景と、そこで育まれる純粋な喜びを感じさせるものとして、現代においても変わらぬ魅力を放っています。