オスカル・ビュルク
東京都美術館開館100周年記念「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展にて展示されるオスカル・ビュルクの作品《スケーインの学校》は、19世紀後半の北欧における芸術運動、特にスケーイン派の影響を色濃く反映した油彩画です。
スウェーデンの画家オスカル・ビュルク(1860-1929)は、ストックホルムの王立美術アカデミーで学び、1883年には奨学金を得てパリへ留学しました。そこで彼はデンマークの画家P.S.クロイヤーと出会い、彼に触発されてデンマーク最北端の町スケーインを訪れるようになります。ビュルクは1882年、1883年、1884年の夏をスケーインで過ごし、ミカエル・アンカー、アンナ・アンカー夫妻をはじめとするスケーインの芸術家コミュニティに深く溶け込みました。
この地で、ビュルクはクロイヤーやフランスの自然主義運動の影響を受けながら、自身の作品にスウェーデン・ロマン主義とスケーイン派特有の明瞭なリアリズムを融合させていきました。スケーイン派の画家たちは、デンマークやスウェーデンの美術アカデミーの硬直した伝統から脱却し、戸外制作(plein air)を取り入れ、自然光と現実の生活を写実的に描くことに注力しました。
《スケーインの学校》は、ビュルクがスケーインで制作した傑作の一つであり、この地の日常風景を描くという彼の意図を明確に示しています。
本作品は1884年に油彩、カンヴァスで制作されました。絵画部分の寸法は縦76.5cm、横60.5cmです。現在はストックホルムのスウェーデン国立美術館に所蔵されています。
《スケーインの学校》は、デンマークのスケーインにある小さな村の学校の教室を描写しています。画面では、数人の少年が読書に集中している一方で、黒い服を着た女性教師が糸を紡いでいる様子が描かれています。この教師は、ビュルクや他のスケーインの画家たちの作品に頻繁に登場する「マダム・ヘンリクセン」に似ているとされています。
この情景は、当時の農村における初等教育の一場面を捉えており、子どもたちが学びながら、教師が手仕事に勤しむという、時間を無駄にしない勤勉な日常が表現されています。限られた空間の中で、人々がそれぞれの役割を果たす姿は、スケーイン派が重視した「正直な労働」や「家庭生活」といったテーマを象徴しています。
オスカル・ビュルクは、スケーインでの滞在中に最も優れた作品のいくつかを制作したと評価されており、本作品もその一つです。スケーイン派は19世紀後半の北欧美術において重要な位置を占め、自然光の表現と写実主義的な描写で知られています。ビュルクの作品は、スウェーデン・ロマン主義の要素とスケーイン派の写実主義を融合させた独自のスタイルを示し、当時のスウェーデンの市民階級の生活を描写した特徴的な作品として評価されています。
《スケーインの学校》は、スケーイン派の画家たちが捉えようとした、光に満ちた日常、人々の生活、そして社会のあり方を伝える貴重な作品として、現在も多くの人々に鑑賞されています。