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4種の鳥の習作(セアカモズ、ウズラクイナ、ズアオアトリ、キタヤナギムシクイ)

ブリューノ・リリエフォッシュ

東京都美術館開館100周年記念「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展にて展示されるブリューノ・リリエフォッシュの作品「4種の鳥の習作(セアカモズ、ウズラクイナ、ズアオアトリ、キタヤナギムシクイ)」について紹介します。

作品概要

「4種の鳥の習作(セアカモズ、ウズラクイナ、ズアオアトリ、キタヤナギムシクイ)」は、スウェーデンの国民的画家、ブリューノ・リリエフォッシュ(1860-1939)が描いた鳥の習作です。本作品には、セアカモズ、ウズラクイナ、ズアオアトリ、キタヤナギムシクイの4種類の鳥が描かれており、画家がいかに鳥の生態を詳細に観察していたかがうかがえます。

制作背景・意図

ブリューノ・リリエフォッシュは、19世紀後期から20世紀初期にかけて活動した、野生動物を専門とする画家として知られています。彼は、動物の日常生活、その動き、解剖学的特徴、そして彼らが環境に適応する様子に焦点を当て、理想化された動物画とは異なる、写実的な表現を追求しました。リリエフォッシュは、望遠鏡を片手に野に分け入り、時には木に登ったり、隠れ家を築いて身を隠したりするなど、独自の観察方法を用いて動物たちを自然な状態で観察しました。彼は捕食者と被食者の関係や動物の保護色にも深い関心を持ち、作品にそれらを反映させることで、自然界の緊張感やリアリティを表現しようとしました。彼の作品は、動物たちが織りなす食物連鎖や生態系の一部としての存在を提示するものです。

技法・素材

本作品の正確な技法・素材は明記されていませんが、リリエフォッシュの多くの作品は油彩で制作されています。彼は、慎重に観察された写実主義と印象派的な筆致を融合させた画風を特徴としました。戸外制作(プレイン・エア)を実践し、自然光の下で動物の真の動きや行動を捉えることを重視しました。また、彼の作風には日本美術、特に細密描写や構図、負の空間の使い方が影響を与えているとされており、屏風に小作品を貼り付ける日本の「貼交(はりまぜ)」の技法から着想を得たとも言われています。複数の動物の習作を一枚の絵の中に構成する手法は、彼の作品にしばしば見られる特徴の一つです。リリエフォッシュは、生きた動物だけでなく、剥製や、時には捕獲したばかりの鳥を自然な環境に配置して写生するモデルとしても用いました。

作品の意味

「4種の鳥の習作」は、リリエフォッシュがスウェーデンの身近な野鳥に寄せた、研ぎ澄まされた観察眼と愛情を示しています。個々の鳥の姿を詳細に描き出すことで、彼は自然界におけるそれぞれの生命の尊厳と存在感を描写しています。彼の作品群全体に共通するテーマとして、動物、植物、昆虫、鳥といった全ての生物がより大きな全体の一部であり、それぞれが役割を担っているという、生命の連環の思想が挙げられます。 この習作は、単なる鳥の図鑑的な描写に留まらず、北欧の豊かな自然の中で息づく生命のありのままの姿を伝えるものです。

評価・影響

ブリューノ・リリエフォッシュは、スウェーデンを代表する動物画家であり、19世紀末から20世紀初頭にかけて、世界の野生動物画に最も大きな影響を与えた画家の一人として評価されています。 彼の鳥の絵画は象徴的であり、動物をその本来の環境の中で、動きや解剖学的な正確さに焦点を当てて描く彼の能力は画期的であると評されました。 スウェーデンでは、カール・ラーション、アンデシュ・ソーンと並び、「スウェーデン人画家のABC」と呼ばれる国民的な画家の一人として知られています。 彼の作品は、自然の残酷な現実と幻想的なイメージを組み合わせる独自の手法により、スウェーデンの自然描写に多大な貢献を果たしました。 この「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展は、スウェーデン美術の黄金期を本格的に紹介する日本初の展覧会であり、リリエフォッシュの作品は、自然と共に豊かに生きる北欧ならではの感性に触れる貴重な機会を提供します。