アーンシュト・ヨーセフソン
東京都美術館開館100周年記念「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展にて展示されるアーンシュト・ヨーセフソンの油彩作品《スペインの鍛冶屋》を紹介します。
スペインの鍛冶屋
アーンシュト・ヨーセフソン
スウェーデンの傑出した画家であり詩人でもあったアーンシュト・ヨーセフソン(1851-1906)は、19世紀後半のスカンジナビア美術に大きな影響を与えました。本作《スペインの鍛冶屋》は、ヨーセフソンが友人である画家アンデシュ・ソーン、ヒューゴ・ビルイェル、クリスチャン・スクレズヴィーグらと共にスペインを旅した1881年に制作されました。彼らの旅の目的は、スペインの主要な美術館で巨匠たちの作品を研究し、スペインの農民の生活を描写することでした。この作品は、セビリアのロマニの人々が多く住むトリアーナ地区で描かれました。ヨーセフソン自身は、鍛冶屋たちが自分たちの鍛冶場の外に立っている姿を描いてほしいと彼らから依頼されたと述べています。このスペイン滞在中の旅を通じて、ヨーセフソンの個人的な作風はさらに発展しました。彼はレンブラントの作品を綿密に研究しており、その影響は本作における人物の描写にも見られます。
本作は油彩でカンヴァスに描かれています。寸法は縦124cm、横103.5cmです。
《スペインの鍛冶屋》は、画面の中央に配置された人物が自信に満ちた、あるいは挑戦的な表情で鑑賞者を見つめる、力強い肖像画です。ヨーセフソンは、若き鍛冶屋たちの限りない自信、個性、そして威勢の良さを捉えています。彼は、火花が散り、服が傷つき、仕事が過酷で筋肉が鍛えられるという彼らの職人としての真実を描き出しました。彼らは古典的な美しさを持つわけではありませんが、生命力に溢れ、強いカリスマ性を放っています。焦げ付き、ぼろぼろになった帽子を誇らしげにかぶり、自らの仕事に自信を持っていることを示しています。彼らの目は、鑑賞者に向かって挑発的に輝き、男性的な魅力を前面に出しています。ヨーセフソンは、主題の心理的な複雑さと独自性を巧みに表現することで知られており、本作もまた、彼の描く民俗の鮮やかな伝統や日々の生活のリズムからのインスピレーションが色濃く反映されています。
この《スペインの鍛冶屋》は、その力強い表現から、批評家たちから高く評価されています。ヨーセフソンは19世紀スウェーデンを代表する芸術家の一人として認識されており、彼の作品は主要なスカンジナビアの美術館に収蔵されています。彼の革新的な視覚芸術と印象的な詩は、今日までその遺産を伝えています。なお、本作には後に制作されたバージョンも存在し、オスロ国立美術館に所蔵されています。