アルフレッド・ヴァールバリ
東京都美術館開館100周年記念「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」にて展示されるアルフレッド・ヴァールバリの作品「ヴァックスホルムの眺め」をご紹介します。
この作品は、スウェーデンの風景画家アルフレッド・ヴァールバリが1872年に油彩で制作したカンヴァス作品です。スウェーデン国立美術館が所蔵しており、絵画本体は縦71cm、横110cm、奥行き1.5cmの大きさです。
アルフレッド・ヴァールバリ(Herman Alfred Leonard Wahlberg, 1834-1906)は、スウェーデンを代表する風景画家です。 彼はストックホルムで生まれ、幼少期から音楽的才能を示し、王立スウェーデン音楽アカデミーで学びました。同時に王立スウェーデン美術アカデミーで予備教育を受け、後に父の職業である絵画の道に進むことを決意します。1857年にはドイツのデュッセルドルフ美術アカデミーで短期間学び、その後は主に独学で制作を進めました。 オランダやベルギーへの芸術研修旅行を経て、1862年にストックホルムへ帰国しました。彼の1866年の作品「Svenskt insjölandskap från Kolmården(コルモールデンからのスウェーデン湖沼風景)」は特に有名です。
19世紀後半から20世紀初頭にかけてのスウェーデン美術においては、それまで「描くべきもののない国」とさえ言われたスウェーデンの自然が芸術家たちによって「発見」され、森林や湖、未開の原野や山岳地帯といった独自の自然景観を描く表現方法が模索されました。 ヴァールバリの「ヴァックスホルムの眺め」も、このようなスウェーデンの郷土風景への眼差し、特にストックホルム諸島に位置するヴァックスホルム周辺の景色を捉えた作品として位置づけられます。当時のスウェーデンの画家たちが、自国の自然の中に光や日常の輝きを見出し、それを作品に昇華させようとした意図が込められていると考えられます。
本作品は油彩で描かれたカンヴァス画です。 油彩技法を用いることで、光の表現や空気感、水面の揺らぎなどが豊かに表現されています。ヴァールバリは光の効果や大気の表現に長けており、特に風景画においてその写実的な描写と詩的な雰囲気を両立させていました。
「ヴァックスホルムの眺め」は、ヴァックスホルムの静かな水辺の情景を描き出すことで、スウェーデンの自然が持つ独特の美しさと、そこにある日常の穏やかさを伝えています。この作品は、東京都美術館開館100周年記念「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展のテーマである「自然」「光」「日常のかがやき」を体現するものです。 観る者は、この絵画を通して、厳しくも豊かな北欧の自然の中で育まれた感性、そして当時のスウェーデンの人々が自国の風景に感じた深い愛情や郷愁に触れることができるでしょう。
アルフレッド・ヴァールバリは、19世紀のスウェーデン風景画において重要な位置を占める画家の一人です。彼の作品は、スウェーデン国立美術館に収蔵されるなど、その芸術的価値は高く評価されています。 「ヴァックスホルムの眺め」は、ヴァールバリの代表的な風景画の一つとして、スウェーデンの風景画の発展に貢献し、後世の画家たちにも影響を与えたと考えられます。本展覧会を通じて、彼の作品が日本の観客にスウェーデン美術の魅力を伝える役割を担っています。