クロード・モネ Claude Monet
クロード・モネが1877年に制作した油彩画《七面鳥》は、印象派の画家の初期の重要な作品であり、現在パリのオルセー美術館に所蔵されています。本作は、「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」展にて紹介される作品の一つです。
この作品は、モネのパトロンであった百貨店経営者エルネスト・オシュデの依頼により、モンジュロンにあった彼の別荘、ロッテンブール館の居間を飾るための装飾画として描かれました。モネは1876年の夏から秋にかけてロッテンブール館に滞在し、高さ約175cmの大作4点からなる連作を制作しました。《七面鳥》はそのうちの1点であり、邸宅の庭で放し飼いにされている七面鳥と、後景にロッテンブール館が描かれています。
1870年代のモネは、まだ画家として広く知られているわけではありませんでしたが、これらの装飾的な大作を手がけることで、後の「睡蓮」の連作につながる大規模な作品構成の経験を積むことになりました。しかし、オシュデは1877年に百貨店の経営破綻に直面し、翌1878年には彼の絵画コレクションと邸宅が競売にかけられることになります。
作品は油彩でカンヴァスに描かれ、その寸法は174.5 cm × 172.5 cmと、ほぼ正方形の珍しいキャンバスサイズが特徴です。モネは、この作品において印象派特有の筆致を駆使しています。例えば、夏の草は様々な色彩の筆触で表現され、七面鳥の輪郭も明確には描かれず、光によって暗示されるかのように表現されています。画面全体に影が少なく、対象が発光しているかのような明るさで満たされている点も、光の描写にこだわったモネの探求を示しています。
モネが動物を主題とすることは比較的稀であり、これは動き回る対象が、彼が追求した一瞬の光の状態を捉えるには不向きであったためと考えられています。
《七面鳥》は、1877年の第3回印象派展に出品されました。当時の批評家からは、その派手な色彩や未完成な印象について「表面的で未完成」であると揶揄されました。モネ自身が意図的に「装飾的に未完成」という題をつけたことで、批評家からは「二重の罪」と見なされたとも言われています。しかし、この作品は、個々の事物の詳細な描写よりも、光と大気の移ろいを捉えるという印象派の理念を体現しています。
本作は、1947年にルーブル美術館に寄贈され、1986年からはオルセー美術館で展示されています。今回の「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」展では、「戸外の光」に留まらない印象派の多様な魅力に焦点を当てており、私邸の壁面装飾として制作された《七面鳥》も、その文脈の中で紹介される作品となっています。これは、印象派の画家たちが、近代化が進むパリにおいて、人々の私的な生活空間や、そこでの人間関係、そして装飾画といった屋内空間における表現にも深く関心を寄せていたことを示しています。