アルフレッド・スミス Alfred Smith
アルフレッド・スミス作「画家の母の肖像」は、オルセー美術館が所蔵する油彩作品であり、「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」展にて紹介されています。この作品は、フランスの画家アルフレッド・スミスが1913年以前に制作したものです。
アルフレッド・スミス(1854-1936)は、フランスのボルドーに生まれ、印象派、ポスト印象派、そして後にフォーヴィスムの様式で制作活動を行った画家です。彼の初期の作品には、クロード・モネの初期作品との類似が見られます。スミスは、イポリット・プラデル、レオンセ・シャブリー、アマデウス・ボーディットに師事し、クールベやコローに続く地元の風景画家たちと交流しました。1880年代にはボルドー派の新たな指導者となり、1886年からは絵画制作に本格的に専念するようになります。
「画家の母の肖像」は、スミスが自身の母親を描いたものであり、個人的な親密さと感情的な深さを捉えた感動的な肖像画であると評されています。この作品が「印象派―室内をめぐる物語」展に出展されることは、画家の内面世界や家庭的な空間への関心が示されていることを示唆しています。
この作品は油彩が施されたカンヴァスであり、縦95.0cm、横60.0cmのサイズです。スミスは、風景画や都市景観において、繊細でニュアンスに富んだパレットを用いて、大気の喚起的な表現を得意としました。彼の作風は成熟するにつれてより明るい色彩を用いるようになりましたが、この肖像画では、彼の特徴である微妙な色使いが反映されていると考えられます。
「画家の母の肖像」は、画家の最も身近な存在である母親を主題とすることで、深い人間関係と内省的な感情を表現しています。肖像画は、モデルの内面的な本質と画家自身の感情的なつながりを視覚的に探求する手段であり、特に家族を描いた作品には、画家自身の記憶や愛情が込められていることが多いです。この作品は、個人史における重要な人物へのオマージュであり、また特定の時代の肖像画のスタイルを示すものとしても意義を持ちます。
アルフレッド・スミスは、1880年のパリのサロンで佳作を受賞し、1888年にはフランス芸術家サロンで三等メダルを、1889年には銅メダルを獲得しました。1894年にはレジオンドヌール勲章シュヴァリエに叙され、1900年のパリ万国博覧会では銅メダルを受賞するなど、存命中に高い評価を得ました。
「画家の母の肖像」は、オルセー美術館のコレクションに収蔵されており、スミスの重要な作品の一つとされています。これまでにも、1913年のベルギー・ゲント万国博覧会や1923年のチュイルリー・サロンなど、複数の展覧会で展示されてきました。2025年から2026年にかけて国立西洋美術館で開催される「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」展への出品は、この作品が印象派とその周辺の美術史において、その主題と表現技法の両面で評価されていることを示しています。