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蝸牛の劇場 / Theater of Snail

阿部展也(芳文) / Abe Nobuya (Yoshibumi), 瀧口修造 / Takiguchi Shuzo

開館50周年記念 モダンアートの街・新宿:阿部展也(芳文)と瀧口修造による「蝸牛の劇場」

SOMPO美術館の開館50周年を記念する展覧会「モダンアートの街・新宿」において、阿部展也(あべ のぶや、芳文)と瀧口修造(たきぐち しゅうぞう)による作品「蝸牛の劇場」が紹介されます。この展覧会は、新宿という地が日本の近代美術(モダンアート)の歴史において果たした役割に焦点を当て、新宿ゆかりの芸術家たちの約半世紀にわたる軌跡をたどるものです。

作品の背景と作家について

阿部展也は1913年に新潟県で生まれ、独学で絵画を学んだ後、独立展などで作品を発表しました。戦後も前衛的な作風で国際展にて活躍した画家です。 瀧口修造は1903年富山県生まれの詩人・美術評論家であり、早くからシュルレアリスム運動に注目し、アンドレ・ブルトンの著作翻訳も手掛けています。 瀧口は自らが写真を撮影する作家ではありませんでしたが、「前衛写真協会」を組織して理論面から日本の写真表現に重要な役割を果たしました。 阿部も瀧口と共に「前衛写真協会」の立ち上げに参加しており、瀧口の思想に共鳴して作品を残しました。 彼らは、詩的な演出や技巧が優先されがちだった当時の日本の超現実主義的写真に対し、写真の本質である「記録性」や「オブジェ」を重視する瀧口の思想のもと、「前衛写真」という新しい写真表現を追求しました。

阿部展也と瀧口修造は、1930年代から「前衛写真」という概念を通じて、日本の写真史において重要な足跡を残しました。瀧口は写真におけるシュルレアリスムを「日常現実の深い襞のなかに潜んでいる美を見出すこと」と語り、阿部もこれに共鳴し、街の風景やオブジェにカメラを向けた作品を発表しています。

「蝸牛の劇場」について

現時点での公開情報からは、「蝸牛の劇場」という具体的な作品がどのような背景・経緯・意図で制作されたのか、またどのような技法や素材が用いられているのか、その具体的な意味や与えた評価・影響について詳細な記述は確認されておりません。しかし、阿部展也と瀧口修造が日本の前衛芸術において果たした役割、特に「前衛写真」という表現を追求した彼らの活動から、本作品もまた、既存の枠にとらわれない実験的な精神と、日常のなかに潜む新たな視点を探求する意図のもとに生み出されたものと推察されます。

「蝸牛」というモチーフは、その螺旋状の形態やゆっくりとした動きから、時間、空間、内省、あるいは隠された世界への眼差しなど、多様な解釈を想起させます。彼らの「前衛写真」が、単なる技巧を超え、日常の中から前衛的な構成物を見出し、写真の本質を問うものであったことを踏まえると、「蝸牛の劇場」もまた、鑑賞者に対して深く思考を促すような作品であると考えられます。

本展を通じて、阿部展也と瀧口修造という二人の先駆者が生み出した「蝸牛の劇場」が、日本のモダンアート史においてどのような位置づけを持ち、どのようなメッセージを投げかけているのかが明らかになることが期待されます。