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冬日 / One Winter Day

曽宮一念 / Somiya Ichinen

開館50周年記念「モダンアートの街・新宿」展で紹介される曽宮一念の作品「冬日」について解説します。

作品概要

「冬日」は、洋画家・曽宮一念が1925年に制作した油彩・カンヴァスによる作品です。この絵画は学校法人常葉大学の所蔵となっています。

制作の背景と経緯

曽宮一念は1893年に東京で生まれ、東京美術学校(現在の東京藝術大学)で藤島武二や黒田清輝らに学び、洋画の基礎を築きました。在学中から光風会展に出品し、初期には中村彝の影響を受けたとされています。1920年からは新宿下落合にアトリエを構え、この「冬日」もその周辺の風景を題材として写実的に描かれました。

技法と素材

この作品は油彩・カンヴァスという西洋絵画の伝統的な素材と技法を用いて制作されています。曽宮一念は「冬日」において、鋭く伸びやかな線と、青と赤茶の調和が印象的な色彩表現を用いています。この時期の作品には、対象を心中に収め、心象風景へと昇華させる彼の画風が表れています。

作品が持つ意味

「冬日」は、画家が身を置いた新宿下落合の情景を、単なる写実にとどまらず、画家の内面を通した「心象風景」として捉え、表現されたものと解釈できます。彼は権威を嫌い、時流に流されない「詩魂を描きこんだ独自の画風」を確立しており、本作もまた、冬という特定の季節の風景に、画家の生命や自然の息吹が融合した精神性が込められていると考えられます。

評価と影響

「冬日」は、1925年の第12回二科展に出品され、樗牛賞を受賞しました。この受賞は、当時の洋画壇における曽宮一念の存在感を確立する重要な出来事であり、彼の初期の代表作の一つとして高く評価されています。この作品に代表される写実的な表現から、曽宮はその後、より大胆な筆致と色彩で風物を描く「日本的フォーヴ」と称される手法へと展開していきました。曽宮一念は、日本近代洋画の確立期を形成した代表的な画家の一人として、その芸術活動は高く評価されています。