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真夏の夜の夢

田島なす美

国立劇場の名品展より 田島なす美「真夏の夜の夢」

国立劇場が開催する名品展にて紹介されている、日本画家・田島なす美の作品「真夏の夜の夢」は、1971年制作の彩色・紙による大作です。縦230.0cm、横165.0cmという堂々たるスケールで描かれた本作は、同年開催された第3回改組日展に出品されました。

制作背景と芸術家の歩み

田島なす美(たじまなすび、後に増田奈壽美に改名)は1943年、神奈川県横浜市に生まれました。彼女は日本の美術界において、日展を中心に活躍した日本画家です。1965年に伊東万耀に師事し、絵画の基礎を学びました。その後、より繊細な画風を追求するため深水塾でも研鑽を積み、1972年には橋本明治に師事するなど、常に向上心を持って絵画と向き合い続けました。

その才能は早くから認められ、1966年には新日展に初入選を果たします。そして、本作が発表される直前の1969年と1970年には、日展特選を連続して受賞するという快挙を成し遂げており、1971年の第3回改組日展に出品された「真夏の夜の夢」は、まさに彼女が画家として躍進を続ける時期の作品と言えます。

技法と素材

「真夏の夜の夢」は、日本画の伝統的な技法である「彩色」を用いて紙に描かれています。彩色による表現は、日本画特有の豊かな色彩と繊細なグラデーションを可能にし、作品に深みと奥行きを与えます。230.0×165.0cmという大画面に展開されることで、その色彩と構図が鑑賞者を包み込むような臨場感を生み出します。田島なす美の作品は、一般的に女性らしいきめ細やかな筆致が特徴とされており、優しく幻想的で甘美な作風が多くの人々を魅了してきました。

作品の持つ意味と表現

作品名「真夏の夜の夢」は、ウィリアム・シェイクスピアの有名な戯曲と同名であり、幻想的で夢幻的な世界観を想起させます。田島なす美の作品は、その優しく魅惑的な画風から、見る者に安らぎや感動を与えると言われています。本作においても、夏の夜の間に見る夢のような、儚くも美しい情景が描かれていると推測されます。具体的な制作意図に関する資料は見当たりませんが、彼女の作品が持つ普遍的な「優しさ」や「幻想性」は、この作品の根底にも流れていることでしょう。

評価と影響

「真夏の夜の夢」が発表された1971年の第3回改組日展は、日本画壇における重要な発表の場でありました。この時期、田島なす美は日展特選を連続受賞するなど、新進気鋭の画家として注目を集めており、本作も当時の日本画壇において、その才能と表現力を示す作品の一つとして評価されたと考えられます。彼女はその後も日展評議員や審査員を務めるなど、日本美術界に貢献し、多くの美術ファンを魅了し続けました。彼女の繊細なタッチと独特の世界観は、後進の画家たちにも影響を与えたことでしょう。