アルマン・ギヨマン Armand Guillaumin
「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」にて展示されるアルマン・ギヨマンの「パレットを持つ自画像」は、印象派の画家ギヨマンの芸術的姿勢と、ゴッホ兄弟との深い交流を示す重要な作品です。
本作品は、1878年に油彩、カンヴァスで制作されたアルマン・ギヨマンによる「パレットを持つ自画像」です。サイズは縦60cm、横50cmであり、ヴァン・ゴッホ美術館が所蔵しています。
制作背景と意図 アルマン・ギヨマン(1841-1927)は、初期印象派の主要な画家の一人であり、ポール・セザンヌやカミーユ・ピサロらと共にアカデミー・シュイスで学び、終生の友となりました。彼は生涯にわたり、他の印象派の画家たちと同様に戸外制作にこだわり続けました。ギヨマンは画家として生計を立てることが難しく、当初は壁紙工場で働き、後にフランス政府鉄道や土木課で働きながら制作活動を行っていました。このような背景の中、自身の芸術への情熱と献身を内省的に表現したのがこの自画像です。画面に描かれたギヨマンは、制作中に鑑賞者の方へ顔を上げ、一時的に集中を中断されたかのような印象を与えます。この作品は、彼が自身の芸術に深く没頭していた様子を物語っています。
技法と素材 本作は油彩、カンヴァスで描かれています。1870年代半ばから後半にかけて、ギヨマンの筆致はより軽やかで複雑になり、パレットは一層明るい色彩を帯びるようになりました。彼は初期の作品から影の描写に青や紫を使用し、並置された筆致を用いる特徴がありました。この作品においても、パレットには赤、黄、緑、青といった絵の具が盛り付けられ、その色彩は画家の顔にも反映されています。ギヨマンは印象派の仲間たちと「色彩によるデッサン」という概念を共有しており、その表現方法はこの自画像にも見て取れます。彼の作品は、鮮やかで時に非現実的とも評される色彩の使用が特徴とされています。
作品が持つ意味 この自画像は、単なる画家の肖像に留まらず、ギヨマンの芸術家としてのアイデンティティと、彼が追求した印象派の美学を凝縮しています。彼の真摯な眼差しと鮮やかな色彩感覚は、自身の芸術に対する深い情熱と献身を雄弁に伝えています。また、本作品はフィンセント・ファン・ゴッホが深く敬愛した作品の一つとして知られています。ゴッホはこの自画像を「驚くほど近代的」であり、レンブラントやフランス・ハルスの作品に匹敵すると評価しました。そして、ゴッホは弟テオに、特に仲間である画家たちの肖像画を購入することを奨励しました。
評価と影響 「パレットを持つ自画像」は、フィンセント・ファン・ゴッホの弟テオが自身の個人コレクションのために購入したことで知られています。これは、ギヨマンの作品がゴッホ兄弟の芸術的関心と収集活動の中で重要な位置を占めていたことを示しており、今回の「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」のテーマにも深く関連しています。ギヨマンは、モネやルノワールといった他の印象派の画家ほど知名度が高くありませんでしたが、彼の絵画は一度見たら忘れられないほどの強い存在感を持ち、印象派にとって不可欠な存在であったと評価されています。彼の独特な鮮明な色彩表現は、後にフォーヴィスム(野獣派)の画家たちに大きな影響を与えた先駆けとも言われています。初期のキャリアにおいても、ギヨマンは経済的かつダイナミックな筆致で成熟した構図を制作する、熟練したデッサン画家として認識されていました。1920年代には、あるモノグラフで「絵画の領域において、ギヨマンはモリゾ、シスレー、ピサロよりも高い地位を占めていることを認めざるを得ない」と評されるなど、晩年には批評家からの評価も高まりました。