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左向きの三人の人物 / A Landscape with Three Figures on the Right

カミーユ・コラ / Camille Corot

カミーユ・コローの作品「左向きの三人の人物(A Landscape with Three Figures on the Right)」について、詳細を説明します。

この作品は、スウェーデン国立美術館の素描コレクション展にて展示されたものですが、作品情報から、カミーユ・コローが「ペン、褐色インク、褐色の淡彩、紙」を用いて制作した素描であることが分かります。

制作背景・経緯・意図

カミーユ・コロー(1796-1875)は、19世紀フランスの風景画家であり、エッチングの版画家でもありました。彼は新古典主義の伝統を参照しつつ、印象派の屋外制作の革新を予期させるような広範な作品を残し、風景画における重要な人物とされています。コローは幼少期に内気で学業は振るいませんでしたが、両親の事業が成功していたため、26歳で画家としての道に進む経済的自由を得ました。彼は1822年から絵画制作に没頭し、スタジオを借り、画材を調達し、生涯を通じて旅をしました。

コローは、生涯を通じて風景を描きましたが、人物画にも取り組みました。特にキャリアの最後の10年間は人物に焦点を当てていました。彼は風景画に人物を付け加えることを、17世紀の画家クロード・ロランが用いた手法と同様に、副次的な要素として捉えていました。彼は「ヌードの習作は、風景画家が持ちうる最高の教訓である。もし誰かが技巧なしに人物を描きこなせるなら、彼は風景も描ける。そうでなければ、決してできない」と生徒に助言しています。

「左向きの三人の人物」というタイトルから、この作品は風景の中に人物が配置された構図であることが推測されます。コローの素描は、しばしば自身の油絵のための準備段階として、あるいは自然を直接観察した記録として描かれました。彼は「屋外で、絵筆と紙を持って、被写体のあらゆるニュアンスと細部を注意深く観察しながらスケッチした」と言われています。

技法や素材

この作品は「ペン、褐色インク、褐色の淡彩、紙」という素材で制作されています。コローは素描において、グラファイトや木炭を特に多用しました。彼は19世紀に導入された新しい技法や素材に魅了され、制作においてしばしば実験を行いました。

コローの素描技法は、徐々に自由なスタイルへと発展しました。彼の構図は古典的でありながらも、風に揺れる葉や枝の間から差し込む光の表現には、繊細な描写が見られます。コローはまた、エッチングやリトグラフィー、そして1860年代には写真も手掛けるようになり、これにより彼は色調のニュアンスを作り出す目を養いました。特に、エッチングと感光性プレートを組み合わせた版画技法であるクリシェ・ヴェールにも取り組み、風景の雰囲気的な効果をグラフィック媒体に変換する手段として活用しました。

意味

コローの作品は、自然に対する深い敬意を反映した写実的な風景を描き出しています。彼の構図は光と影のバランスが取れており、多くの場合、わずかに灰色の空と一体化した人物が描かれています。

コローは、描く風景が新古典主義の伝統における歴史的な風景のように、重厚で教訓的な目的を持つものと、ロマン主義の画家たちにとって自然が鑑賞者を想像上の場所に誘う、ドラマチックまたは静かに瞑想的な役割を持つものとの間の橋渡しをしました。彼は自然の観察を重視し、特に日の出や夕暮れの光を描くことを愛しました。

この作品に描かれた「三人の人物」は、コローの風景画において、自然の営みや情感を象徴する要素として配された可能性があります。彼の作品は、実在の場所に基づきながらも、コローの想像力によって牧歌的な情景へと昇華された「思い出(souvenir)」と題されることもありました。

評価や影響

コローは生前、特にその詩的な風景画によって人気を博しました。彼は「光と自然の反映」で知られ、リアリズムと詩的な感性が融合した作品は、印象派運動に大きな影響を与えました。

1845年のサロン批評で、詩人のシャルル・ボードレールはコローを「現代風景画派のリーダー」と評しました。 彼の作品は、クロード・モネが1897年に「ここには一人の巨匠しかいない。コローだ。私たちは彼に比べれば何でもない」と称賛し、エドガー・ドガもコローの人物画を高く評価しました。

コローの作品、特に屋外での油彩スケッチは、その技術的な自由さと鮮明な色彩で高く評価されており、完成された絵画と同様に重要視されています。彼はスケッチが持つ生命力と自発性、そして自然に対する基本的な真実性を最初に示した画家の一人であり、印象派の風景画家たちの道を準備しました。

コローは、風景画の先駆者として、その柔らかな筆致と色調の段階的な変化によって、印象派に影響を与え、クロード・モネ、カミーユ・ピサロ、ベルト・モリゾといった画家たちに重要な影響を与えました。 彼は、初期の学術的な価値観を避けた自然な光の描写において「印象派の萌芽」を示していると批評家から評価されています。 彼の風景画は、その繊細な光の描写において、後の19世紀の風景画、特に印象派に計り知れない影響を与えました。

しかし、その人気の高まりとともに、特に晩年の作品はコレクターの間で人気を博し、コロー自身が若い芸術家たちに自身の絵を模写するよう奨励したこともあり、多くの偽作や模倣品が生まれる原因となり、作品の帰属が困難になることもありました。