ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズ (Tjanpi Desert Weavers)
「私の犬、ブルーイーとビッグ・ボーイ」は、オーストラリア中央部と西部砂漠地域に暮らすアボリジナル女性アーティストたちによるコレクティブ、「ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズ」が2018年に制作した2分14秒の映像作品です。
この作品は、中央砂漠から西砂漠地域のコミュニティに属する女性アーティストたちによるコレクティブであるジャンピ・デザート・ウィーヴァーズの、アニメーションプロジェクトの一環として生まれました。ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズは、砂漠に自生する草(ピチャンチャチャラ語で「ジャンピ」)を主な素材に、伝統的な技法を用いて立体作品を制作していることで知られています。この映像作品は、彼女たちのコミュニティにおける身近な事物や日常の出来事をテーマに、ストップモーション・アニメーションという技法を用いて制作されました。 作品の意図は、アーティスト主導のストーリーテリングであり、彼らの制作した風変わりな彫刻と、アナング・カントリー(Anangu Country)から伝わる心温まる物語を融合させ、砂漠の物語に命を吹き込むことです。 特に「Ngayuku Papa」(私の犬)というシリーズは、砂漠での生活やコミュニティ、そしてアートセンターの活動において犬がいかに重要であるかを伝えることを目的としています。
制作には、ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズのアーティストたちが、自ら採取した砂漠の草(ジャンピ)や、ラフィア、ウール、紐、針金、エミューの羽、拾ったものなど、様々な素材を使って制作したファイバー・スカルプチャー(繊維彫刻)が使われています。 これらの彫刻は、アニメーションでの動きを可能にするために、針金の骨組み(アーマチュア)をベースに作られています。 映像の背景となるセットには、地元の砂がボードに接着されて使用されています。 制作過程では、まず物語が語られ、それを基に絵コンテが作られ、彫刻が作られ、シーンが設定され、写真が撮られてアニメーションが構成されました。 「Ngayuku Papa: Bluey and Big Boy」は、このように手作業で作り上げられた彫刻と、ストップモーション・アニメーションという技法が組み合わされています。
「Ngayuku Papa」はピチャンチャチャラ語で「私の犬」を意味しており、この作品は、犬が砂漠の生活やコミュニティにおいていかに大切であるかという深い意味を持っています。 犬は、砂漠の住民の心の中で特別な存在であり、喜びや仲間をもたらし、物語のインスピレーションの源となっています。 作品は、アーティストたちが「カントリー」、つまり自分たちの土地、文化、そしてコミュニティとの強い繋がりを基盤としたストーリーテリングを反映しています。
ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズは、国際的に評価の高いアーティスト集団です。 彼らのアニメーション作品は、そのユニークな動きと魅力的なキャラクターで高く評価されています。 「私の犬、ブルーイーとビッグ・ボーイ」が展示された「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」展は、日本の美術館で初めて、複数のアボリジナル女性アーティストに焦点を当てた展覧会であり、彼女たちがアートを通じてどのように脱植民地化を実践し、今日の多様なアボリジナル・アートを形成しているかを探る重要な機会となりました。 このコレクティブによる創作活動は、地域社会の伝統と文化を継承する上で重要な役割を果たしており、アボリジナル・アートの国際的な評価の向上にも貢献しています。 実際、ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズは、2025年の大阪・関西万博にも出展するなど、その活動は国内外で注目を集めています。